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新しいメディアミックス

2000年3月 公開

小規模で体力のない開発会社がコンシューマー向け
ゲームソフトを製作して売るということには、
いくつもの障害があります。
まず、最大の問題は非常にコストの高い
ビジネスであること。小さな企画でも数千万円、
大きなものでは数億円の直接制作費を必要とする
現在のゲームソフトの製作は、新興の
ソフトハウスにとって、言ってみれば大きな賭けです。
損益分岐点を下回るということは、
会社自体の存続が危うくなるということです。
特に、さしたる実績やネームバリューのない
ベンチャー企業であれば、少しでも利益が出れば
成功と考えねばなりません。そうした現実を考えた時に、
たとえば数億円を投資したゲームソフトを、
いざ完成してからさらに巨額の費用を掛けて
宣伝をするというのは、いかにも後手に回って
効率の悪いスケジューリングではないでしょうか。
もし今、PlayStation2に向けてのプロジェクトを
立ち上げるとすれば、どんなに急いでも
実際の開発作業に入れるのが一年後であることは、
現場のスタッフなら誰でも分かっています。
絶対に必要な手順。PlayStation2自体の検証、
開発環境の検証を経て、実用的なツールの製作を
完了させるには、一年でも足りないくらいなのです。
短縮することのできない一年ならば、
より有効に活用する方法があるのではないでしょうか。
つまり、ゲームソフトという、最もリスクの
大きい商品をリリースする前に、
よりリスクの小さい商品を開発、販売し、
ユーザーに対する知名度を高め、
マーケットを育てることによって、
いざゲームを売る時の宣伝費やリスクを
軽減することが可能なのです。具体的には、
まずキャラクターと世界観を最初に確立し、
コストが低く損益分岐点の低い媒体(漫画やCD等)
を選んで、そのコンテンツをリリースするのです。
そしてマーケットでの認知度を確かめながら、
徐々にコストの高いメディア(アニメーションなど)
に移行し、ゲームがリリースされる時には
ユーザーはそのキャラクターもバックグラウンドも
熟知しているという、理想の環境を実現していきます。
また、損益分岐点をクリアーしつつ、
コンテンツとユーザーという最も重要な資産を
増やしていくことも、大事な目標です。
これはいわゆるメディアミックスですが、
最初に設計図を固め、計画的に進めるという部分が、
大きく異なっています。従来のメディアミックスが、
行き当たりばったりな展開に終始し、
既存の媒体に製作を丸投げして、
期待外れな作品を量産してしまい、
結局マーケットに呆れられてしまうのに対し、
最初から展開全体のプランを明確にする新しい手法を
採ることによって、情報の露出の仕方をコントロールし、
世界観の統一性を守り、理想的な形でキャラクターを
ユーザーにアピールすることができるのです。
単に一本一本の作品を販売するのではなく、
コンテンツ全体、プロジェクト全体を
演出するというのが、これからの
エンターテイメントビジネスの在るべき姿ではないかと、
僕は考えています。

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