Library : エキスポ70

エキスポ70

2000年4月 公開

1970年に日本で開催された万国博覧会。
大阪は吹田、千里山丘陵に、一年間だけ開かれた異界への扉。
この頃よく書店で、記録写真や当時の回想などを
まとめた本を目にするようになった。
僕は、自分の目で万博を見た世代である。
名古屋から大阪へ、家族旅行を兼ねて、
会期中に二度、足を運んだ。
さて内容がどうだったか、と思い出そうとするのだが、
これがどうにも判然としない。
4歳の時に姉の膝の上でウルトラQの本放送を
観たという記憶のある僕だが、万博に関しては、
むしろ事前に読みふけった赤塚不二夫の万博ガイド本や、
雑誌の紹介記事のほうが印象に深く、
実際に行った時の感想はあまり残っていない。
おそらく、人混みや歩き疲れに負けて、
その辺りの情報が消去されてしまったと思われる。
また、どこに行っても人の列で、有名な展示館などは
ろくに廻れなかったのも、その一因だろう。
もっとも、フジパンロボット館だけは、後に愛知県青少年公園に
移築されたので、身近なものになったのだが。
長じて大学の頃、吹田にある下宿から、
自転車で万博会場まで見に行ったことがある。
なんだかだだっぴろい敷地と、太陽の塔だけはそのままで、
人気も疎らに営業していたエキスポランドが寂し気だった。
今、万博の記録写真を見ると、
そのインパクトの強さに唖然とする。
なんていうかもう、頭が変なんじゃないかと思われるほど、
大きくて、わけがわからなくて、
時代の熱がそのまま形になったような建物群。
伝えたい想いが激しすぎて言葉に出来ず、
勢い余って全身で表現してしまったみたいに、
馬鹿馬鹿しいほど素直で、
強烈に僕の心を惹き付けて、掻き立てる。
なんだかわからないけど、凄い。
住友童話館の空中円盤の写真を眺めながら、
8歳の僕がその下に立っている姿を想像すると、
胸の中が言い様のない衝動でいっぱいになる。
この気持はなんだろう。憧憬、羨望、後悔、無念。
ああ、この凄いものを、全て自分のものにしたかった。
この凄いものの一部に、自分はなりたかった。
今となっては、永遠に満たされることはない望み。
束の間に開かれた異界への扉を、
自分はくぐり損ねたのではないか。
自分が本来居るべき場所へ戻るチャンスが、
そこには有ったのではないか。
どうしていつも自分は間に合わないのだろう。どうして。
そんなことを考えると、悔しくて悔しくて、たまらない。

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