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勝ち負けじゃなくて
2000年3月 公開
作り手が力ずくでプレーヤーに勝とうと思えば、
それは雑作もないことである。
ゲームのルールを定めているのは作り手であり、
自分の都合の良いようにルールを変えてしまえば、
いくらだってプレーヤーに勝つことができる。
RPGのボスキャラのHPを無限大にしてしまえば、
誰もそれを倒すことはできないし、
正解のないパズルを作れば、誰もそれを
解くことはできない。しかし、
当然ながらそんなゲームをするプレーヤーもいない。
プレイされないゲームは無いのと同じだし、
そんなものを作るためにこつこつと努力をするのは
無意味な行いであろう。
ゲームの作り手はプレイヤーに勝ってはいけない。
それは作り手にとって恥ずかしいことである。
なぜなら作り手の仕事は、プレーヤーを楽しませ、
気持ち良くさせることであり、それによって
プレーヤーから報酬を貰っているからである。
もとより、ゲームの作り手に勝ち負けなどという発想が
あること自体おかしい。
プレーヤーは作り手にとって敵ではなく、
大切な客なのだ。やってきた客をいきなり
殴り倒していては商売にならない。
作り手としての勝負ということを言うならば、
プレーヤーに「買ってよかった」「面白かった」
と言わせる以外に、作り手の勝ちはないのである。
故に、ゲームの作り手のセンスは、如何にプレーヤーに
気持ちよく勝ってもらうかにかかっている。
プレーヤーがゲームを褒めるのではない、
プレーヤーが自分自身を格好良いと思い、
褒めることができるような演出こそが理想なのである。
わずかでも作り手に「勝たせてやっている」
というような雰囲気があると、
プレーヤーは興醒めである。プレーヤーは
自分で努力して自分の力で勝ちたいのであり、
恩着せがましく人に勝たせてもらいたいわけではないのだ。
あくまで主人公はプレーヤーなのだということを
忘れてはいけない。
作り手にあるべきは、裏方としての誇りである。
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